スポーツタイプの自転車で通勤してみたいが、どこまでグッズを揃えるべきか?ずっと続けられるかやってみないと分からないし、まずは最低限のものだけ揃えておきたい。そんな人のためにおすすめアイテムをご紹介します。
数あるなかからアイテムを選ぶポイントは、安全性と快適性。道路が渋滞しやすく、誰もが急いでいる通勤時間帯は、自転車にとって快適なライディング環境とはいえません。そのような状況でも安全に、そして爽やかな気分で自転車通勤を楽しめるように、という視点からアイテムの選び方をご紹介します。
4~5km程度の通勤に使用するなら、手持ちのママチャリからスタートしてみるのも一つ。ただ、それ以上の長距離であったり、健康増進やダイエットを目的に乗るなら、やはりスポーツタイプの自転車がおすすめです。車体が重たいママチャリは、長く乗るには膝に負担がかかったり、変速機がついていないため坂道を走るのはハード。
せっかく始める通勤ライドを長続きさせるには、毎日のことだけに、快適性やライディングの楽しさを感じられることも大切なのです。
では、スポーツタイプの自転車なら、何を選ぶべきか?大きく分けると以下の3つがあり、どれも通勤に使用できますが、初心者におすすめなのはクロスバイク。
走行性と気軽さを併せもつクロスバイクは、ロードバイクよりタイヤが太めでパンクもしにくいので安心。また、マウンテンバイクのようにサスペンションは付いていないものの、車体は軽く、駐輪スペースでも扱いやすいのです。
バイクの種類 | 主な用途 | メリット | デメリット |
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クロスバイク | 街乗り、ツーリング |
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マウンテンバイク | 山道のライディング、マウンテンバイクレース |
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ロードバイク | ツーリング、ロードレース、トライアスロンレース |
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「通勤程度なら、ヘルメットなしでも問題ないだろう」と考える方もいるかもしれません。しかし、朝夕の通勤タイムは道路が混雑している時間帯であり、交通事故の危険性もぐっと高まります。また、自転車による死亡事故の統計(平成21~23年:交通事故総合分析センターによる)をみると、損傷部位のトップは頭部が64%とダントツですが、ヘルメットを装着することで、死亡する割合は1/4に低減できるという試算も出ています。
安全に通勤して、ケガなどで仕事に支障をきたさないことは、社会人としての責任でもあります。走行距離にかかわらず「自転車に乗るときは、何を忘れてもヘルメットは被る」くらいの意識を持ちたいものです。
転倒したときなどの衝撃吸収性については、廉価モデルと高級モデルでほとんど差はありません。それよりも、必ず自分の頭にフィットするものを選ぶこと。頭の形やサイズは人によって異なるため、必ず試着してから選ぶことが大切です。また、夏にむけて快適性を考えると、できるだけ風通しのよいもの(=空気穴が多いモデル)がおすすめです。
初心者の人に多い間違ったかぶり方は、ヘルメットから「おでこが見えている」状態です。これでは転倒した際に、おでこや顔面を守ることができません。逆に前にズレすぎても視界が狭くなり危険です。
正しいかぶり方は、眉毛の上あたりにヘルメットの端が来るように。また、あごヒモが緩すぎては、転倒の際に外れてしまうので、しっかりと固定します。ヒモを固定して、首とヒモの間に指が1~2本入る程度が適切です。
ヘルメットの構造は、内側が発砲スチロールになっていて、強い衝撃を受けると凹むことで衝撃を吸収して頭を守ってくれます。その発砲スチロールは、一度凹んでしまうと元にもどらないため、次の衝撃を吸収することができずに大変危険な状態。しかも、凹んでいたり劣化しているかは外観では判断がつきにくく、まだまだ使えると思っていても実際には効果を発揮しない、というケースも多いのです。
それを防ぐためにも、購入から3年間を目安とすること。たとえ3年経過していなくても、転倒などでヘルメットに衝撃を受けてしまったら、必ず買い替えるようにしましょう。
グローブは、実はヘルメットと同じくらい必須アイテムです。一番の理由は、転倒した際に、道路に手のひらを擦ってケガすることが多いから。手のひらのケガというのは、それ自体は重傷でなくても、生活そのものに大きな支障をきたすことは想像できるでしょう。まさに転ばぬ先の手袋なのです。
また、汗でハンドルが滑ることを防ぐというメリットもあります。路面は常に安定しているとは限りません。アスファルトが凹んでいたり、石ころが落ちていたり、少しの衝撃でもハンドルを取られて転倒するケースはよくあること。ハンドルグリップは滑りにくいようにはできているものの、素手とグローブ着用時ではその安定性は比較にはならないのです。
その他にも、ハンドリングで手に伝わる振動を軽減してくれるのも、グローブの役割。一見するとファッションアイテムと思われがちですが、安全に自転車通勤するためには、ヘルメットと同じくらい欠かせないものなのです。
そしてもう一つ、安全のために必要なものがライトです。都心部で通勤を考えている場合、街灯や街の照明などで自分が通行するための視認性はそれほど困らないかもしれません。しかし、問題は対向車や後ろから来る車に、自分の存在をアピールできているかということ。ドライバーから見ると、黒っぽい服装の場合は約30メートルまで近づかないと見えないと言われています(大阪府警ウェブサイトより)。
そのためには、自転車の前につける前照灯と、サドルの後ろにつける尾灯(テールライト)の両方をつけるようにしましょう。前照灯選びのポイントは、明るさが少なくとも200ルーメン以上はあること。また、ライトは盗難防止のためにも取り外し可能で軽量なものがおすすめです。テールライトは、反射材ではなく、しっかりと点灯するライトを選びましょう。
そして、念のため、夜間(日没から翌日の日の出まで)の無灯火運転は、道路交通法違反となり5万円以下の罰金が科せられることも忘れずに。
自転車の値段に関係なく、自分の愛車が盗難に遭うのは悲しいもの。理想を言えば、オフィスで自分の目の届く所に駐めておきたいものですが、スペースの関係でそれが許されない場合はしっかりとした駐輪場を利用することです。
それでも被害に遭うというケースも多いため、フレーム部分とどこかの部分をロックでしっかり固定します。クロスバイクなどでは、タイヤはクイックリリースで簡単に外されてしまうため、必ずフレーム部分にロックを通しておきます。
種類は、長めのチェーンロックやU字ロックなどさまざまですが、しっかりと固定できることと同時に、走っているときの持ち運びのしやすさも考慮しましょう。
自転車通勤に必須なものとして、次に挙げられるのがサングラス。紫外線は、肌だけでなく目からも吸収されます。目が日焼けすることで、充血したり乾燥したり、それが長期間にわたると白内障の原因ともなります。
また、走行中は風に吹かれてゴミが入ったり、小さな虫が飛んできたりと、アクシデントも多いもの。安全に走るためにも、サングラスは装着するようにしてください。
自転車に乗っているときは風に吹かれているので気にならないものの、自分が意識しているよりも汗をかいています。だから、真夏に限らず水分補給は大切。ボトルとボトルホルダーも揃えておきたいものです。
自転車通勤で、スーツで乗るのはアリか?ナシか?着替えのことなどを考えると、迷う方も多いかもしれません。これも、通勤距離や季節にもよるので一概には言えませんが、ママチャリ同様に4~5km程度を目安に考えてはどうでしょうか。
長時間乗っていると、どうしてもサドルとの摩擦からズボンの生地が傷んだり、股ずれの原因になったりします。その点、自転車用ウェアならお尻パッドがついているので乗り心地も快適です。
また、会社に到着したときに汗だくの状態では、自分自身も周囲にとっても気分のよいものではありません。会社のロッカーに、スーツと汗ふきシートなどを置いておいて、さっと着替えるほうが得策でしょう。
もうひとつは、突然の雨対策。自転車通勤をしている人は天気予報に敏感になるものですが、予想外に降られたときのことを考えてレインウェアの携帯は必須です。
自転車用のグッズは、種類も多く何から選んでよいか迷いがちですが、最初は最低限のものだけでOK。そのうち自転車にハマると必ず欲しいアイテムが出てくるので、その時の楽しみに置いておけばよいのです。
今回のアイテム選びは、安全性を第一にご紹介しましたが、自転車通勤は事故の危険性をはらんでいることを理解して運転することで、楽しく快適な通勤ライドができることをエシカルからのメッセージにしたいと思います。
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