「最近、何もない所でつまずいてしまう」「メタボという言葉が気になり始めた」。
運動不足を解消したいけれど、まとまった時間がなかったり、若い頃のように激しい運動はできないから、と現状維持の方が多いようです。
しかし、これから10~20年先のことを考えると、今から体力や筋力をつけておくべき。定年後のシニア世代をいかに楽しめるかは、これからの鍛え方で大きく変わってくるのです。運動不足を解消したい方、健康維持に興味のある方にオススメの自転車の効果をご紹介します。
TVの健康番組などでも取り上げられる「運動不足はよくない」というフレーズ。具体的にどのような弊害があるのでしょうか?それは、主に以下の5つが考えられます。
運動不足によって一番自覚しやすいのは、筋力の低下です。地球に戻ってきた宇宙飛行士がすぐには歩けないように、筋肉は刺激を与えないとすぐに萎縮してしまうもの。歳をとるにつれて、この傾向は高まっていきます。また、心臓や肺なども筋肉ですから、加齢とともに機能は低下していきます。筋肉は、運動することでしか鍛えられないので、身体の重要な臓器を鍛えるためにも運動は必要なのです。
カロリーの摂取量が消費量よりも多いと、体内に脂肪が蓄積されて肥満につながります。これも自覚している方が多いかもしれません。若い頃は、基礎代謝力(運動をしなくてもカロリーを消費する力)が高いため、カロリーの高い食事をしても脂肪がつきにくかったものの、ミドル世代はそうはいきません。年齢とともに基礎代謝率は低下するため、脂肪が蓄積されやすくなります。また、肥満の状態は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を引き起こす原因にもなります。
運動不足になると、酸素や栄養分を体の隅々まで運んでいる毛細血管の働きも下がります。血液の循環がうまくいかないと、冷え性になったり、抵抗力が低下してさまざまな病気にかかりやすくなるのです。
運動が足りないと筋肉だけでなく、骨も弱くなることをご存知でしたか?骨や筋肉は、運動による刺激によって小さなレベルでの組織が壊され、それを再生しようとして成長ホルモンが分泌されて強くなっていきます。成長ホルモンの分泌は、年齢的にみると20代をピークに後は減少していく一方ですが、ミドル世代でも運動をすることで成長ホルモンを促すことは十分に可能なのです。
有酸素運動とは、筋肉に軽い負荷をかけながら規則的な運動を繰り返し、酸素をとりこんで体内の脂質や糖質を燃やす運動のこと。
有酸素運動は、血液のエネルギーを必要とするため、より多くの血液を送れるように毛細血管をふくらませて血管の収縮が活発になります。この時、血管の数が増えると同時に血管が太くなるので血圧を下げる効果もあります。
運動を開始して、約20分はこの状態が続くと言われています。そして、今度は体内に蓄えられている脂肪を燃やし始めます。これがダイエットに効果を発揮します。
また、特にゆるやかで長い有酸素運動を行うと、血圧の上昇を抑えながら血液中のブドウ糖を長時間に使うことになるので、血糖値を下げる効果があり、糖尿病にもよいと言われています。
自転車をこぐ時に使うのは、体の中で一番大きな筋肉である太もも。年齢とともに衰えやすいなので、しっかりと鍛えておきましょう。また、下半身全体の筋肉は体全体の約70%を占めており、上半身の筋肉に比べて疲れにくいため、ラクに効率よく運動することができます。
老後の生活のクオリティは、足腰がしっかりと動かせるかどうかで大きく変わります。寝たきりにならないために、起き上がったり立ちあがったりするための筋肉(=太ももの筋肉や腸腰筋)を今から鍛えておきましょう。腸腰筋が使われるのは、ペダルをこいで足を引き上げるときの動き。効果的に鍛えるためには、足裏の母指球(親指の付け根のあたり)をペダルの軸(中心)に乗せるようにします。
運動はしたいけれど、腰痛や膝の痛みが気になるという方も多いはず。自分の体重を支えるために、常に腰や膝には負担がかかっていますが、そのまま運動不足の状態をつづけていればさらに悪循環になるだけです。自転車は、サドルと車輪に体重がかかっているので、ランニングなどと比べると膝や腰への負担が少ないスポーツです。
また、自転車は左右の足を均等に動かさなければまっすぐ進まないため、自然に体の歪みを矯正してくれる効果もあります。正しいフォームを意識しながら、少しずつ始めてください。
風を切って自転車をこいでいると、気分がよいもの。それは、スピード感や景色がどんどん変わって外からの刺激が多くなることで、脳からドーパミンという物質が分泌されることで起こります。ドーパミンは、神経伝達物質のひとつで、神経細胞を活性化させて集中力を高めます。
また、運動で体が温まることで、筋肉の緊張がほぐれたり、リラックスしているときに働く副交感神経が働いて気分が向上する効果もあります。
運動不足解消のためにさまざまなメリットのある自転車ですが、継続的に乗ることが大切。理想的なのは毎日20分以上乗ることですが、仕事が忙しいミドル世代には難しいかもしれません。それでも、週末には自転車で出かける場所を作るとか、会社帰りにスポーツクラブでエアロバイクをこぐ、家から最寄りの駅までは自転車で移動するなど、日常生活のサイクルのなかに自転車を組み込んでみるのも良いでしょう。
最初はたくさんの距離を走れなくてもよいのです。少しずつ乗りながら、そのうちに自分の体が良い方向に変化していることに気づくと、乗ることの楽しみは増えていきます。自転車はガソリン代もかからず、お財布にも地球にもやさしい乗り物。そして、身体にもやさしい乗り物なのです。
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